受験生が10月頃に必ずこぞって口にする面白い言葉がある。それは「速読sokudoku」である。
後に説明する正しい意味での速読であれば、もちろん受験では効果的で、いち早く皆さんにも実践して欲しいのだが、その前にあなたの周りにもいるであろう「sokudoku」に対する苦言を申し上げたい。
10月に現れるsokudoku
10月頃といえば、多くの受験生にとって模試が模試としての意味を成してくる時期である。
ある程度勉強が進んだ(つまり知識が入った)状態でやっと出題者や他の受験生と腕試しができるのだ。
そこで必ず以下の問題が発生する。
「英文は読める(読む力はある)のに、問題は解ける(解く力はある)のに、時間が足りない」
そこで必ず受験生の頭の中に現れるのがそう「速読」の概念である。
ここまでは良い。問題はここからである。
どこからともなく湧き出るsokudoku信者
何を思ったのかネットや本屋に溢れている「速読sokudoku本」なる物を読み、それを実践しようとする強者が現れるのだ。
しかもこれは一部の人間だけでは無く、かなりの頻度で湧き出る強者である。
受験生だけならまだしも、指導者の中にも「速読sokudoku」信者が紛れ込んでいることがあり、学生に「速読sokudoku」を布教し始めるのだ。
ここで注意していただきたいのが、「速読」やそれにまつわる手法を否定しているわけではない。
実際にそういう手法もあるのだろうし、何をもって「速読」というかは、それぞれだろう。
では先ほどから申し上げている「sokudoku」とは何か。
それは文字通り「文章をとてつもない速さで読むことができる上、まるで精読したのかのように内容が頭の中に残ってしまう」という類の「sokudoku」である。
あり得ない。
これらの手法や「俺できたよ」というsokudokuマスターに釣られ、長文が書かれた問題集を目にも余る速さでめくり続ける受験生をみると毎年胸が痛くなる。
目を見開いても、手を早く動かしても、脳(か体の他の部位)が覚醒するか、超能力者でもない限り一生sokudokuマスターにはなれないだろう。
このような類のsokudokuを勧める人や参考書が現れた瞬間、あなたには耳や目か心をシャットダウンすることをオススメする。
速読をマスターするための唯一の方法
ここで確実に「速読」をマスターする方法を一つご提案したい。
それは、
- 「英単語を見た瞬間に日本語が頭の中に出てくる」状態になること
- 「英文解釈の技術が体に染み付いている」状態になること
これが冒頭に述べた正しい方法であり、受験生が陥る「時間が足りない」問題を解決するための一つの方法である。
英単語の勉強方法については、「どんな大学でも通用する英単語の効率的学習方法」でご紹介している。
必要とされる単語量や、暗記のレベル、使用すべき単語帳などが知りたい方はぜひ参考にして欲しい。
英文解釈の勉強方法については、「英語長文がすらすら読める。英文解釈の勉強方法」でご紹介している。
大学受験英語で高得点を取るためには、英文解釈の学習が不可欠だ。
英文解釈の勉強をまだ始めていない方や、そもそも英文解釈という言葉を知らない方は必ず一読して欲しい。
また、問題を早く解く方法としては、パラグラフリーディングと呼ばれる手法を取り入れたり、特定の問題形式に対する対策を講じておくことなど、原因によって様々なものがあるが、そのようなテクニック論は受験の直前(3ヶ月前くらい)から意識し始めても遅くはない。
とにかく基礎知識をインプットしていることが重要なのだ。
試験時間が足りないと感じ、その原因が長文を読むのが遅いことなのであれば、英単語、英文解釈の復習を見直そう。
くれぐれもsokudokuに嵌らないようにお願いしたい。