リスニングに苦手意識を持つ受験生は多い。理由は簡単で、リスニングの指導を実施している学校が少ないからだ。
実は、一昔前までは、私立文系大学志望であれば、リスニングの重要性は低く、特別な対策をする必要がなかった。一部の大学・学部を除き、一般入試ではリスニングが課されることが無かったからだ。そのため、センター利用の予定がない受験生にとっては、対策の必要がない科目だったのだ。
しかし、昨今では、英語外部試験利用入試(英検など民間の英語試験を利用する入試)を採用する大学・学部が増え、リスニングの対策の重要性が増している。今後、センター試験廃止に伴い、大学入学共通テストが開始される予定だが、それらを入学試験に導入する大学・学部も多い。そうすれば、今後ますます、リスニングの重要性が増していくことが予想される。
そこで、ここではリスニングの勉強法、対策方法についてご紹介する。
リスニングと、読解(リーディング)の違い。
リスニングの勉強法に入る前に、まず、リスニングの勉強とは「何を目的とした勉強なのか」を理解しておこう。
そのためには、リーディングとリスニングの違いについて知る必要がある。
リーディングは、読むこと。つまり、視覚で英文を把握する。
対して、リスニングは、聞くこと。聴覚で、英文を把握する必要がある。
英文解釈、日本語訳の過程
【リスニング】耳で聞く(英文把握)➡︎意味を理解(英文解釈)
【リーディング】目で読む(英文把握)➡︎意味を理解(英文解釈)
当たり前のことだが、両者の違いは、情報の受け取り方にある、ということがわかる。
つまり、リーディングでは必要がなくて、リスニングでのみ必要なことは「聴覚で英文を把握する」という作業だ。
それ以外の必要な能力については、リーディングと同様、ということだ。
「英文は聞き取れているが、意味がわからない」という方は、リスニングではなく、英文読解の知識に問題がある。その状態では、リーディングすらまともにできないはずである。英文解釈の学習と、英単語の暗記に取り組もう。
リスニングができない原因は2つ。
上記の内容から、リスニングができない原因を2つに分けることができる。
① 聞き取りができていないこと。
② 英文読解の知識がないこと。
①の場合は、何度も英語を聞き、耳を慣れさせることで、聴覚による英文把握をマスターする他ない。(具体的な方法は後述)
②の場合は、リスニング以前の問題で、まず先にリーディングの勉強を行う必要がある。そもそも読解の知識が足りていない、ということだ。英文読解(リーディング)の上達には、英単語暗記と、英文解釈の学習が不可欠だ。
英単語の暗記については、「英単語の覚え方!短期間で早慶合格するために実践した英単語暗記法」、英文解釈の学習については「大学受験の英語長文がすらすら読める英文解釈の勉強法」で説明しているので、まだ読んでいない人はぜひ参考にしてほしい。
聞き取りの練習方法(リスニングの勉強法)
では、①の「聞き取り」ができていないことが原因で、リスニングができないという方を対象に、具体的な対策方法をご紹介する。
聞き取りの練習には、「シャドーイング」という方法を推奨する。
ご存知の方も多いかもしれないが、シャドーイングとは、英語の音声を聞き、聞こえた通りに、それを発声することだ。つまり、マネをするということだ。マネができるということは、「英文を正しく聞き取れている」ということを意味する。
繰り返しシャドーイングを行うことで、「英語音声に耳を慣れさせること」と、「どの部分が聞き取れていないのか(聞き取れない理由は何か)を把握すること」ができる。
聞き取れない理由が把握できれば、その部分について対策し、インプットしていけば良い。(聞き取れない音のパターンを消していく。)
しかし、漠然とシャドーイングに取り組んでいては、時間がかかってしまうので、NEOREC先進塾では以下の方法をお勧めしている。
①スクリプトを読む。(この際に、正確に意味が取れるのかを確認する。)
②スクリプトを見ながら音声を聞き、目で追う。(聞き取れない箇所は下線を引く)
③下線箇所の音声を聞き、なぜ聞き取れないのかを探る。
④スクリプトを見ずに音声を聞き、シャドーイングをする。
①スクリプトを読む。(この際に、正確に意味が取れるのかを確認する。)
先に説明したように、リスニングができない理由は二つあり、もし、読解の知識不足が原因なのであれば、いくらシャドーイングをしてもリスニングは上達しない。ここでは、スクリプトを読み、知識的には読解ができるということを確認しよう。もし、読めないのであれば、日本語訳を確認し、読めるようにしておくこと。
②スクリプトを見ながら音声を聞き、目で追う。
この際、目で追っても聞き取れなかった箇所や、よく分からなかった箇所は、下線を引こう。
③下線箇所の音声を聞き、なぜ聞き取れないのかを探る。
聞き取れない原因は幾つかある。例えば、音が繋がっている場合や、音が発声されない場合など。原因を探り、自分の中の聞き取れないパターンを消していこう。
④スクリプトを見ずに、音声を聞き、シャドーイングをする。
ここまでくれば、リスニングができない諸々の原因をクリアし、純粋に「聞き取り」の練習ができるようになっているはずだ。きちんと聞き取り、その通りに発音できるように何度も繰り返そう。
シャドーイングに用いるおすすめの参考書
「基礎 英文解釈の技術100(桐原書店)」がオススメだ。
英文解釈の学習用の参考書ではあるが、CDが付属されている。リスニングの対策と同時に、英文解釈の学習を兼ねることができるので、効率が良い。
なお、ここでの目的はあくまで、「聞き取り」の練習をすることなので、使用する教材は、何でも良い。
まとめ
リスニング上達のために必要な知識は
- 基礎知識(単語・英文解釈)
- 英語の発音のクセやルールに関する知識
できるようになるべきことは、
- 聞き取り(英語音声に耳を慣れさせる)
そのために
- シャドーイングをする。
これで、リスニングが上達する。
なお、先にも述べたように、リーディングができなければ、リスニングはできない。リーディングができていないのなら、「単語(熟語)・英文解釈」の基礎知識を完璧にしよう。
「リーディングはできるが、リスニングが苦手」という方は、今回ご紹介した対策で、必ずリスニングができるようになる。