このページでは、漢文の勉強法について紹介している。
漢文に苦手意識を持っている受験生は多い。確かに、見慣れない漢字が見慣れない語順で並んだあの文を見ると、誰でも苦手意識を持ってしまうだろう。
しかし、漢文は誰でも短期間で合格点を取れる。
漢文は暗記科目でありながら、必要とされる暗記量が非常に少ないからだ。
皆さんに先に伝えたいことがある。それは、
漢文の勉強に時間をかけすぎないこと
受験科目は、漢文だけではない。
志望校合格という視点で考えれば、英語や社会(日本史、世界史)の学習に時間を割くべきだ。
漢文の勉強方法の模索や、漢文の勉強自体に時間をかけることすら、本当にもったいないというのが、筆者の意見だ。
だから、この記事では、先に結論を述べる。
「つべこべ言わずに「漢文 ヤマのヤマ」をやれ。」
それだけで、受験漢文では合格点が取れる。
漢文の勉強において重要なのは、「いかに時間をかけずに合格点を取るか」という視点だ。
これで納得していただけた場合には、「漢文の学習手順」に飛び、いち早く学習を進めてほしい。
念のため、
- 漢文では、何を学ぶべきなのか
- なぜ短期間で高得点を取ることができるのか
については、後述している。気になる人は読んでみてほしい。
なお、英語や社会科目の学習が十分でない人は、必ずそちらを優先しよう。特に、私立文系を目指す人は、最悪の場合、漢文を捨ててしまっても、英語や社会科目(世界史・日本史)で高得点を取れれば、合格できる可能性が高い。
漢文 勉強法 目次
1. 大学受験における漢文についての考え方(飛ばしても良い)
今のままで本当に合格できますか?
大学受験における漢文についての考え方(飛ばしても良い)
漢文って結局何をすれば良いの?
簡単にいえば、基本句形(句法)と漢文特有の漢字を暗記することだ。
言ってしまえば、一冊の参考書の暗記項目を暗記するだけで、合格点が取れる。
基本句形(句法)とは、公式のこと
辞書では、次のように定義されている。
漢文を訓読する際の、基本的構文や文法事項。
三省堂 大辞林
つまり、漢文を日本語文法に照らして読むための、構文ということになる。要するに漢文を読むためのルール・公式だ。
皆さんが漢文を読めるようになるためには、漢文を日本語で解釈する必要がある。
そのためのルールが句法、と考えて良い。
句法の学習は、英語科目の英文解釈の学習に近い意味合いを持つ。英文解釈の勉強法については「大学受験の英語長文がすらすら読める英文解釈の勉強法」で解説しているので、良ければそちらも参考にしてほしい。
漢字は、読み方と意味が分かれば良い。
漢字を書かせる問題を出題をする大学は多くない。漢字に関しては、読み方と意味さえ分かれば大丈夫だ。
具体的には
「漢文 ヤマのヤマ」という参考書を一冊完璧にする。
早い話、大学受験の漢文は、この参考書を一冊完璧にするだけで、合格点(それも、満点に近い点数)を取ることが可能だ。
方法論や理屈にこだわらずに一秒でも早く参考書を開き、一周読んでほしい。そうすれば、なぜ、点数が取れるかがわかるはずだ。それほど漢文は「簡単」であるし、受験勉強において漢文の勉強に時間をかけすぎることは、もったいない。「とりあえず参考書やれば良いんだな」と分かった人は、以下の文章を読む必要はない。早く「漢文の勉強法」に移ろう。
2ヶ月で漢文の試験で9割取ることができる理由
よく、「センター漢文 1ヶ月で満点をとる方法」や「2ヶ月で漢文で9割取る方法」と言ったような方法を目にするだろう。
要するに「漢文は、短期間で、高得点を取ることが可能」という話だ。
他科目に関しては、ありえない話だが、漢文ではそれが「可能」と言える。(さすがに、1ヶ月、や満点、という表記は過剰だが...)
ここでは、その理由を紹介する。
そもそも問題が簡単
必要な公式さえ覚えておけば解ける問題しか出題されない。
正確にいえば、暗記事項を覚えているのに解けないような問題は無視をしても、合格点は取れる。
すなわち入試における漢文の意図は「漢文を読めますか?」ではなく「漢文の勉強をきちんとしてきましたか?」だ。
勉強さえしていれば、それが点数となって返ってくるようになっている。
暗記項目が少ない。
では、どれくらい暗記しなければならないか。が気になると思うが、安心してほしい。
英語や古文と比べて、覚えるべき暗記量は、非常に少ない。
その必要時間が、大体1ヶ月から2ヶ月だ。
どれほど少ないかは、参考書を見てみてほしい。
だから、短期間で、高得点が取れる。
- 暗記していれば解ける
- 暗記量が少ない
→誰でも勉強さえすれば、「短期間で高得点」
という理屈だ。
漢文の勉強法
使用する参考書
「漢文 ヤマのヤマ パワーアップ版(大学受験超基礎シリーズ)」
この一冊さえ学習しておけば、大学受験の漢文で合格点を取ることが可能だ。しかし、中にはこの参考書が肌に合わないという方もいるだろう。その場合には、「早覚え即答法」という参考書をおすすめする。「漢文 ヤマのヤマ」か「早覚え即答法」のどちらかを完璧にできれば良い。学習しやすい(読みやすい・読む気になるなど)方を選ぼう。
学習手順
- 手順1 「三羽邦美の漢文教室(旺文社)」を1周通読する。(漢文に苦手意識を持っている人や、慣れていない人)
- 手順2 「漢文 ヤマのヤマ」を2〜3周通読する(メイン)
- 手順3 演習問題に取り組み、ヤマのヤマの知識を「使える状態で」定着させる。
- 手順4 必要に応じて、アウトプットの練習をする。
- 「漢文 ヤマのヤマ」の復習を怠らず、暗記項目を暗記する。
手順① 「三羽邦美の漢文教室(旺文社)」を1周通読する。
この参考書は、受験漢文について基礎から分かりやすく、全くの初学者でも理解できるレベルで説明してくれている良書だ。
前提として、知識的には手順②で取り組む「漢文 ヤマのヤマ」だけで十分だ。受験漢文の勉強のゴール地点は、「漢文 ヤマのヤマ」の知識の理解、暗記。ということになる。
しかし、学校の授業で漢文を習っていない人や、漢文にあまり触れてこなかった人は、漢文に対して過剰な苦手意識を持っている場合が多い。
このように漢文アレルギーを起こした状態では、「漢文 ヤマのヤマ」の学習がスムーズに進まない。
受験漢文の基礎をフワッと簡単に把握し、なんとなくでも良いから受験漢文のゴールまでの道のりを認識することで、苦手意識を克服することがこの手順①の目的である。
ここで、「漢文難しい」を「漢文意外と簡単かも」に変えよう。
なお、この参考書はさらっと1周通読できればそれで十分だ。
「ヤマのヤマ」に取り組む環境を整えるために、アレルギーを取り除く目的で、準備運動的に取り組めば良い。
手順② 「漢文 ヤマのヤマ」を2〜3周通読する。
細かいところで立ち止まらず、雑誌や小説を読むようにさらっと読もう。
なんども読んでいるうちに必ず理解できるようになってくるので、1周目や2周目で、無理に理解しようとする必要は無い。
1周目から無理に理解しようとして壁にあたり、「漢文難しい..」と途中で投げてしまう受験生は非常に多い。(逆に1周目を最後まで読み切ればそれだけで、他の受験生と差をつけることができる。)
どの科目でも共通して言えることだが、初見の知識・項目を1周目からスラスラと理解・納得できる方が稀である。
1周目で分からなくても2週目...3周目...と同じ参考書を読めば「参考書側が受験生に覚えて欲しいと思っている項目」くらいは必ず理解できるし覚えられる。
だから、1周目を意地でも読み切ろう。
「とにかくやってみる。最後までやる。そして繰り返す。」
この姿勢が大切だ。
漢文の勉強において、音読は非常に効果がある。漢字の読みが、重要だからだ。なお、読みを覚えるべき漢字(参考書に読み方が掲載されているもの)以外は、適当に読んでしまおう。そこにこだわる必要はない。試験に出る漢字の読み方を押さえることが、目的だ。読めない漢字があるのは当たり前で、読めない漢字があるからといって「難しい」と感じてはいけない。漢文に取り組むコツは、問題を解ければ良いという姿勢を保つことだ。
手順③ 演習問題に取り組み、ヤマのヤマの知識を「使える状態で」定着させる。
実際の問題や漢文そのものを見ずに、ただ『ヤマのヤマ』の暗記項目を眺めていても、それらを「使える状態で」暗記することは難しい。
手順③では、『ヤマのヤマ』の知識が ①実際にどのように出題されるのか、②どのように、どのレベルで暗記すれば良いのかを把握するために、演習問題に取り組む。
オススメの問題集は、「漢文道場(Z会)」だ。
この問題集では、受験漢文で合格点を取るために必要な知識が、問題に即してまとめられている。
実際に問題を解きながら、「ヤマのヤマ」で学んだ知識を総復習することが可能だ。
第一部(全10題)、第二部(全20題)、第三部(全20題)の3部構成になっており、手順3で取り組むのは第一部と第二部だけで良い。(第一部と第二部で押さえておきたい基本事項が解説されている。)
- 漢文道場の問題に取り組む。
- 解説を確認(どの知識があれば解けたのか、その知識は『ヤマのヤマ』のどこに書いてあったのか、等を確認する。)
- 刺激が残ってるうちにヤマのヤマで該当範囲などを確認し、暗記項目を暗記する。
●1日1題取り組む(30日で一周できる)
上記の手順で取り組み、受験漢文で合格点を取るために必要な暗記項目を暗記していこう。
手順④ 必要に応じて、アウトプットの練習をする。
手順①〜③でインプットは十分だ。「ヤマのヤマ」で紹介されている漢文の暗記事項を暗記したら、あとは必要に応じて、アウトプットの練習をしよう。
アウトプットの練習においては、「漢文道場」の第3部(実際の入試問題が題材)に取り組んでも良いし、センター試験の過去問や、志望校の過去問に取り組んでも良い。
いずれの取り組み方でも良いので、自分がインプットした知識を、①制限時間内に、②問題に合わせて、③取り出せる(使える)状態にしておこう。
アウトプットの練習においても、やはり「どの知識があれば解けたのか」「どのような思考回路が必要だったのか」を把握することが重要である。その点については、他の科目の勉強法の解説を参考にしてほしい。
復習のポイント
- 定期的に「漢文 ヤマのヤマ」を読み返そう。
- 定期的にアウトプットの練習をしよう。
まとめ
上述した方法で漢文の勉強に取り組めば、必ず合格点が取れる。
ましてや漢文が足を引っ張るといったことは決して無いはずだ。
誰でも嫌いな漢文。その理由は「ほとんど暗記だから」だ。暗記は誰でも苦しくて面倒臭い。
しかし、裏を返せば、誰でも努力さえすれば習得できる科目ということだ。
必要な項目を暗記さえできれば誰でも合格点だ。
食わず嫌いを起こさずに、早めにさっさと終わらせてしまおう。
なお、他の科目の学習が十分で無い場合には、そちらを優先しよう。「合格点を取る」という視点でみれば、漢文はそれほど重要な科目では無く、英語や社会科目に学習時間を回すべきである。必要以上に、漢文に時間をかけすぎないようにしよう。