いきなりだが、受験勉強を進めていて以下のように感じる事はないだろうか。
- これ以上、何をしたら点数が上がるのか分からない。
- 模試を受けてみたけど、復習の仕方が分からない。
- 目の前の問題を解けるようになる自分の姿がはっきりとイメージできない。
こういった悩みを抱える受験生は意外にも多い。この要因は、「日々の学習が自分にどういった効果をもたらしているのか」、「今やっている事が、どのように学力向上に影響するのか」という事を理解せずに闇雲に受験勉強に取り組んでいる事にある。
今この記事を読んでいる受験生の多くが、「今自分のやっている事が本当に正しいのかどうか分からない」状態なのではないだろうか。
また、こういった状態での学習は非常に効率が悪く、なんども同じ事を繰り返す(繰り返しているのに効果が得られない)事になり、無駄な時間と負荷がかかる。
ゴールまでの明確な学習計画や、やるべき事のリストアップがなされていない状況だからだ。
筆者自身もそうだが、今までの生徒たちも皆、短期間での学力向上、志望校合格を実現している。その秘訣は、これからご紹介する効率的な学習方法にある。
具体的には、段階的な細かい目的意識を持ち受験勉強に取り組む事で、毎回の学習に明確な意味を持たせるということだ。
メリハリが重要だという話は以前にも投稿したが、本日は、より詳しくその手法についてご紹介したい。
きっと、あなたが受験勉強を"着実"に進め、確実に合格を掴むための助けとなるはずだ。ぜひ実践してみて欲しい。
1. 各科目を細かい分野に分け単元化する。
例えば、英語であれば、漠然と「英語」という科目の学力を上げようとするのではなく、「単語」「文法」「英文解釈」という三つに分野(単元)に細かく分け、それぞれの能力を個別に上げていこう。
そうすることで、たとえ英語の点数が低くても、その原因をしっかりと解明することができ、足りていない能力を上げるために集中して学習に取り組むことが出来るからだ。
それだけで、学力向上の効率が飛躍的に上がる。
1−1. 「何が足りないか」が分かるので、復習の効率が上がる。
普段から分野に分けて勉強していると、解けない問題があった時に、その原因が分かるようになる。原因がわかれば、該当箇所を徹底的に暗記し直せば良いだけだ。
総合問題を解いたり、模試を受けたり、過去問を解いたりした時に、復習の方法が分からないという受験生は多いが、普段から単元別に分けて勉強していれば、このような問題は起こらないだろう。
例えば、英語の点数が悪かったとしても、「覚えていない単語があったから解けなかった」のか「英文解釈の知識が不十分だから解けなかった」のか「文法知識を誤っていたから解けなかった」のかが分かる。
単語が問題なのであれば、単語の暗記に力を入れれば良いし、英文解釈が問題なのであれば、もう一度英文解釈の参考書を読み直せば良い。
世界史や日本史においても同様の事が言える。背景知識や流れを「理解」していれば解けたのか、単に暗記項目を暗記できていなかったからなのか。それさえ分かれば復習は簡単だ。足りない部分を補えば良いだけだからである。
1−2. ゴールまでにやるべき事を可視化できるので、勉強を着実に進める事ができる。
分野に分けて学習すれば、自分の学力を可視化することができる。つまり、ゴールまでにやるべき事を把握できる。
例えば、英語科目は、単語、文法、英文解釈の知識をそれぞれ暗記(参考書1冊ずつ)していれば、必ずどの大学でも合格点を取る事が出来る。
自分の学力が合格点に達しないレベルだったとしても、「あと単語を何ページ、文法を何問覚えれば、合格点に到達する」と把握できている事は非常に重要だ。
これは、学習を着実に進めるためには不可欠な要素だ。
すでに出来る事と、これから出来るようになる必要がある事を把握していなければ、勉強が進んでいるのか進んでいないのか分からない、つまり、学力が上がっているのかすら不明瞭な状態になるからだ。
2. 学習の目的を区別し、段階を踏む。
勉強をする際には必ず「これは何のための学習か」ということを意識するようにしよう。
理解→暗記→アウトプットの流れについてや、目的意識を持つことの重要性については『大学受験をするなら知っておきたい。合格を確実にするための前提知識』でも詳しくご説明している。まだ、読んでいない人は目を通しておこう。
2−1. 理解→暗記の繰り返し+アウトプット
勉強の流れは「理解」→「暗記」→「アウトプット」という3ステップだ。これが勉強の基本だ。
受験勉強でおこなう作業のほとんどが「暗記」で、暗記さえしていれば合格点を取ることが可能という話は以前にもご紹介したが、覚えた知識を受験本番まで維持し、入学試験で回答出来る状態になるには、上記の3ステップを踏む必要がある。
基本的には、すべての受験生が自然と上記の3ステップを踏んでいるのだが、この流れを意識的におこなっているのと、そうでない場合とでは、学習の効果と学力向上の早さに大きな差が出る。
例えば、まだ「理解」が伴っていないのに、いきなり文法の問題集を解き、答えを暗記し始める学生がいるが、その行為は決して効率的な学習とは言えない。
意味のない記号の形や、単純な数字の配列が記憶しにくいのと同じで、「理解」を伴わない項目の暗記は極めて難しい。しかし、文法のルールや意味を「理解」した上で、一度頭に入れた知識をなんども繰り返すことで「暗記」することは、効率的で、簡単だ。
単純なことだが、最初から「これは理解のための作業」と意識していれば、上記のような無駄な勉強をしなくても済むし、「理解」することだけに集中できるので、必然的に効率が上がるはずだ。
「暗記」や「アウトプット」も最初から「これは〜のための作業」と認識していれば、そうでない場合と比べて効率が上がるのは想像がつくだろう。
2−2. 理解の段階では、理解本がおすすめ。
学習の流れで最も時間をかけるべきなのは「暗記」の段階だ。
そのため、「理解」の段階にはあまり時間をかけるべきではない。
あくまでも合格するために必要なのは「暗記」をできている状態になることであり、「理解」は暗記の効率を上げるための作業にすぎない。
よく「わかる」と「出来る」は違うといった事を耳にするが、まさに「理解」の段階では「わかった」状態になっていれば良いのである。
そこでおすすめしたいのが、理解本と呼ばれる教科書の内容をわかりやすく印象に残りやすい表現で説明してくれている参考書だ。
話を聞いたり、映像を見るのは、物理的に時間がかかるが、理解本を読むだけなら数時間もあれば読み切る事ができ、一回で理解できない内容も、短時間でなんども読み返す事が出来る。
理解の段階では難しい知識や、細かい内容を覚える必要は無いので、読みやすく全体の流れがサラッと掴めるような薄い理解本をおすすめする。
各分野のおすすめの理解本については、別ページでそれぞれ紹介しているので、ぜひチェックしていただきたい。
文章を読むだけではどうしても理解できない。逆に時間がかかるという方は、大手予備校の授業や、映像授業の視聴をおすすめする。その際、授業の質や評判は気にする必要は無い。どの道、参考書による自習「暗記」がメインなので、「理解」の段階では、自分自身がスムーズに内容を把握出来るような手法を選べば良いからだ。自分に合った楽しく話を聞ける先生を選ぼう。
2−3. 暗記は各分野1冊ずつ
難関大学を含め、私立文系大学であれば、各分野の参考書を1冊ずつ完璧に正答出来るようになればどの大学でも合格できる。
各分野で使用する参考書を1冊ずつ決めたら、それ以外は触らず、受験本番までひたすら周し続けよう。
どうしても、その参考書には乗っていない知識や、過去問や模試などの演習で得た覚えておきたい知識がある場合は、一冊の参考書に書き込むようにしよう。
記憶の定着率は、再生を繰り返した回数に比例するという科学的な証明もなされている。
複数の参考書やノートなどに情報が分散されているよりも、一つの参考書に覚えておきたい知識がすべて詰まった状態、つまり、情報が一元化された状態で学習する方が、「暗記」が捗るという事は明白である。
くれぐれも、多くの参考書を持つ事はおすすめしない。知識量に関しては、せいぜい一冊の参考書を暗記していれば十分だという事を忘れないでおこう。
2−4. アウトプットは暗記で使用している参考書とは別の問題集で。
アウトプットとは、「暗記」した知識を表現する -- 外に出す -- 作業だ。
たとえ、理解し、暗記している内容でも、それを表現するには慣れが必要である。
せっかく「暗記」した知識を受験本番でうまく使えないのでは意味が無い。
理解が10%、暗記が80%として、最後の10%が、答案用紙に知識を書き込むための「アウトプット」の練習だ。
1冊の参考書を周し続ける事が重要である事はお話しした通りだが、アウトプットの際には、普段使用している参考書とは別の問題集で”練習”する事をおすすめする。
この際、問題が解けるか解けないかは気にする必要が無い。目的はアウトプットの練習だからだ。
それよりも、解けなかった場合に「なぜ解けなかったのか」を考え、対策し、繰り返すことで、”解けるはず”の問題を”確実に解ける”問題に変えていく事が重要だ。
上手く解答できなかった時に、答えを見て、「ああ、なんだこの知識について聞かれてたのか。これなら正解できたのに。」と思うことがあるだろう。
それは、勉強不足による解答間違いではなく、単にアウトプットの練習が足りていないだけだ。
「理解」→「暗記」さえしっかりできていれば、受験終盤の二ヶ月ほどアウトプットの練習を繰り返せば、面白い程成績が伸びてゆく。
「理解」「暗記」「アウトプット」の目的意識を持たずに(意識せずに)学習しているために、この最後の仕上げができず、伸びるはずだった成績が伸びずに終わってしまう受験生は非常に多い。
それは非常にもったいないので、ぜひ、目的意識を持って学習することを心がけて欲しい。
まとめ
- 科目を各分野に分け、分野ごとに能力を上げる。
- 学習を段階に分け、目的意識を持ち学習する。
これらを実践することで、やるべきことが明確になり、一つ一つの作業の効率が大幅に上がることはご理解頂けただろう。
ここに挙げたことはもちろん「当たり前のこと」で、そう感じた受験生も多いだろう。
しかし、これらのことを初めから意識できている学生は非常に少なく、逆に、意識できている学生は”着実に”成績を上げていく。
もしあなたが今まで闇雲に受験勉強を進めている状態なのであれば、本日ご紹介したように、
- 科目を単元化することで、やるべきことをリストアップ
- 目的意識を持つことで、勉強の効率化する
ということを、実践すれば、その効果は早々に実感できるだろう。ぜひ、試してみて欲しい。