wouldには「〜したものだ」という意味を持つ過去の習慣(回想)の用法があるということを『will[would]のイメージと意味・用法』では説明しました。
同じく「〜したものだ」と訳される表現に「used to V」があります。
しかし、日本語訳は同じでもwouldとused toは全く別の意味合いを持っています。
このwouldとused toの違いについては、非常に出題頻度が高く、さらに理解できていない受験生が多いポイントなので、今回、個別で取り上げました。
まず「used to」について。
これは「(昔は)〜したものだ(だが、今は違う)。」というニュアンスが含まれている表現で、「現在と過去を対比」する際に使われることが多いです。
There used to be a hotel.「(昔は)ここにホテルがあった(が、今はもうない)。」
という具合ですね。
空き地を指刺して、「ここにはホテルがあったんだよ〜」と言うような時に使うイメージです。
「お父さんは昔はかっこよかったんだよ(過去の状態)」という母親の発言や、「俺も昔はよくスポーツをしたものだ(現在との対比)」というおじさんの発言は皆、「used to」です。
そして、そこには暗に「だが、今はもう違う」という現在との対比の意味合いが込められていることにも気づきますね。
とはいえ、「〜したものだ」という表現は、事実上そのほとんどが「今とは違う昔」を表現するものであることが多いので、必然的にほとんどの「〜したものだ」という表現はused toでまかなえるということになります。(つまり、used toは使用の制限が少ない。現在と過去の対比が根本にあることは確かですが、そこについては深く考える必要がない。)
対して、wouldが表せるのは過去の一定期間における習慣のみ
wouldが表せるのは過去の一定期間における習慣のみです。
理由は『テーマ43:willの重要用法』で説明した通り、wouldは「あの頃と言えば…」という回想(心の動き)を表現しているにすぎないからです。
「◯◯の頃と言えば…よく△△したなあ」の「〇〇の頃」の部分が過去の一定期間、「△△」が習慣です。
つまり、「〇〇の頃と言えば…」の部分がなければ、wouldを使う意味もない(使えない)ということです。
そして、例えば「子供の頃」を想像した時に、パッと「△△したなあ」と浮かぶのですから、△△はその当時何度も繰り返し行った行為ということになりますね。だから、習慣なのです。
I would play the baseball in the park when I was a child. (子供の頃、あの公園で野球をして遊んだものだ)
という文章は、「子供の頃と言えば…」と回想し、「あの公園で野球をしたなあ」という情景がパッと浮かぶからこそのwouldです。
「昔」という漠然とした過去や、現在と過去の対比を表すような「〜だったのに」というような「〜したものだ」では使えないのです。
wouldは単なる回想で、「あの頃」と言えば「〜したな」という過去の一定期間(または特定の期間)における習慣(頻繁に行っていた行動)を表すことができるに過ぎないということを必ず押さえておいてください。
下表は、wouldとused toの対比を入試で狙われるポイントという切り口でまとめたものです。
上述の説明を踏まえた上でご覧いただくと対策に役立つかと思います。
wouldとused toの違い
条件 | 動作V(習慣) | 現在と過去の対比 | 状態V(過去の状態) |
例文 | 子供の頃、よく川沿いをランニングしたものだ。 | 昔、ここにホテルが建っていた。 | 昔は肌が荒れていた。 |
would | ◯ | × | × |
used to | ◯ | ◯ | ◯ |
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表についての補足
表の条件欄についての補足です。
状態Vでwouldが×の理由
過去の状態を表す際は、必然的に「現在は違う」ということを意味するからです。
例えば「昔は肌が荒れていた」というような時は、「今は荒れていない」ということを意味しますね。
また、wouldは「〇〇の頃といえば…」と回想した時に「△△したなあ」という過去の習慣を表しているに過ぎません。
したがって、△△は「〇〇の期間に繰り返しおこなっていた行為」である必要があります。=動作V