難関大への登竜門

なぜそんな意味に?比較の「クジラ構文」を分かりやすく解説。

クジラの法則と呼ばれる「no more … than 〜」(〜ないのと同じで…ない)の構文について理解することがここでのポイントです。

この構文は比較の単元では必ずと言っていいほど受験生を苦しめ、なおかつ頻出の項目です。

最終的には訳せるようになれば良いのですが、ここで解説する内容を理解できれば、おそらく暗記の必要はなく、受験本番まで覚えていられるでしょう。


この記事は比較単元の今までの解説を前提として構成されています。まだ読んでいない人は先に以下の記事に目を通してください。

»「as~as」原級について。「not」についてと、不等号を用いた比較の考え方についても解説

»「than」比較級について。

»「no (not) more than」「no (not) less than」について。「no」についても解説。


テーマ120:クジラの法則

問4)次の英文を日本語訳しなさい。
A whale is no more a fish than a horse (is).
答え:馬が魚でないのと同じで、クジラは魚ではない。

解説は以下を参照してください。

クジラの法則について

ex)A whale is no more a fish than a horse (is).
馬が魚でないのと同じで、クジラは魚ではない

これが「no more … than 〜」(〜ないのと同じで…ない)の構文で、クジラの法則と呼ばれるものです。なぜ、このような訳になるのかを解説していきます。

まずは「no」を無くして考える

まず、「no」が無いものと考えて、例文をみてください。

A whale is more a fish than a horse (is a fish).

クジラ is 魚 > ウマ is 魚」となりますね。(»thanについて

これには納得できますよね。クジラは魚に見た目が似ているので、ウマよりは魚っぽいですよね。しかし、クジラを魚と間違える人はいても、ウマを魚と間違える人は世界各国どこを探してもいないでしょう。(ちなみに、クジラは魚類ではありません。哺乳類です。ご存知とは思いますが。)

これを図で表したのが図1です。

縦棒の上に行くほど魚に近く、下に行くほど魚とは似ていないと考えてください。

「クジラ is 魚」を★、「ウマ is 魚」を●とすると、それぞれこのような位置に置かれると思います。

このように図にしてみても、「クジラ is 魚★ > ウマ is 魚●」が成り立っていますね。

「no」を加えてみよう

次に、「no」を加えて考えていきましょう。

「no」を加えた状態を図に表したものが図2です。

前講で解説した通り、「no」はゼロに等しい非常に強い否定を表します。

だから、「クジラ is 魚」と「ウマ is 魚」の差がなくなり、「クジラ is 魚」が「ウマ is 魚」の位置に引き戻されているのです。

「ウマと比べればクジラの方が魚っぽいでしょう」と考えていたところが「クジラis魚=ウマis魚」になる。

クジラを魚と言うなんて、ウマを魚というみたいなもんだぜ?」というような意味になるのです。

これを綺麗に訳すと、「ウマが魚でないのと同じで、クジラは魚ではない」という訳になりますね。

これがこの構文の訳の成り立ちです。

注意してほしいのが、「than」以降には「ウマis魚」というように、誰が聞いてもおかしいと思える例が置かれるという点です。

クジラを魚だと思っている人に対して、クジラが魚ではないことを伝える際に、「クジラを魚と言うなんて、イルカを魚というみたいなもんだよ」と言ったところで、伝わらないですよね。

「カマキリを魚というのと同じだよ」とか「貝を魚というのと同じだよ」のように、明らかに魚ではないものを例に出すから、文意が伝わるわけです。

クジラの法則について②

ex) Being in love is no less important than studying (is).
(勉強が大切なのと同じで、恋をすることは大切だ。)

これも「no more … than 〜」と考え方は同じです。

まず、「no」がないものとして、考えてみましょう

(大切ではないという点において)恋をすること 勉強をすること

つまり、恋をすることよりも勉強をすることの方が大切ですよということですね。

これを図に表したものが図1です。

縦棒の上に行くほど大切さの度合いが高く、下に引くほど低いと思ってください。

「恋をすること」が★で、「勉強をすること」が●です。

「(less importantという点で)恋 > 勉強」ですから、★が下の方に位置し、●が上の方に位置してますね。

確かに、特に受験生であれば、そう思っている人も多いでしょう。恋に関しては考え方は人それぞれですが、勉強に関しては誰が判断しても大切な行為ですよね。

しかし、ここに「no」が加わると、「恋★」と「勉強●」の差がゼロになります。

つまり、恋のless importantさがなくなり、勉強の位置まで引き上げられるわけです。

図2をみてください。

「(みんなが大切だと思っている)勉強と同じくらい、恋は大切」という意味になるのです。

ここでも注意して欲しいのは、than以降には誰が聞いてもマトモな例えが置かれるということです。

「恋をすることは大切ですよ」ということを伝えたい時に、「恋をすることは、ギャンブルをすることと同じくらい大切なんですよ!」と言っても「???」となりますよね。

「勉強」とか「仕事」とか明らかに大切(今回は基準がimportantなので)と思われる例えを引き合いに持ってくるから、恋をすることの大切さが伝わるわけです。