このページでは、will[would]のイメージと意味・用法について、大学受験対策という観点で説明しています。
後半にはwill[would]に関する頻出知識について解説しています。
なお、助動詞の基本や勉強の進め方についての記事を読んでから、このページを読むと、より理解が深まります。
まだ読んでいない方は以下の記事を先に読んで見てください。
»『助動詞とは話者の意思を表すもの。助動詞の覚え方と勉強方法』(助動詞の基本や勉強の進め方について)
willのイメージ
willのイメージ
心の揺れ(動き)
willについて
学校教育の過程で頑なに「未来の表現はwillを使いましょう」と指導されるために、willは助動詞の中でも理解しにくいところなので、先に説明します。
「第9講 時・条件の副詞節」でも触れましたが、willは未来の表現ではありません。実はwillには未来を表す意味なんて一つもないんです。
本来は心の揺れ(動き)を表すための助動詞なのです。
例えば、
I will visit your home tommorow.(明日君の家に行くよ)
という発言は、「他の場所に行く」「君の家に行く」「いや、やっぱり行かない」という数々の選択肢の中から、「君の家に行く」を選択し発言してますね。
このような意志決定をする過程における「心の揺れ」を表すのがwillの役割です。
決して未来のことだからwillを使っているということではありません。
I will go to the school tomorrow.(明日学校に行く)
という文においても同様です。
「学校に行く」という意志が形成されるまでには、「行こうかな、やめとこうかな」「やっぱり学校に行こう」と言ったような心の揺れが存在しますね。
これをwillで表現します。
willの用法には「意志・推量・習慣・依頼」などがありますが、これらはすべて後述するように「心の揺れ(動き)」を介して成されるもので、話者はそれを表現するためにwillを使うということを押さえておいてください。
»willについては「Willは未来の表現ではありません。」でも紹介しています。
テーマ43:willの重要用法(意志・推量・習慣・依頼 / would 過去の習慣)
Ⅰ 意志
I will visit your home.(あなたの家に行く)
ポイント
上述『willについて』の通りです。
注)This door will not open.(このドアはどうしても開かない)
このように、「どうしても〜する」という話者の強い意志を表す場合があることを押さえておきましょう。
考え方としては、「ドアが開かない(本当は開くはず)」→「イライラ」→「絶対開けへんやんこれ!」←この心の動き。
「I will move forward com what may.(何が何でも前進する)」なども同様。
「何があっても前進するぞ」→「とは言っても本当に大丈夫かな。さすがにあんなことが起きたら怖いな。。」→「いや、そんなことは言ってられない!何が何でも前進する!」
なお、この表現(強い意志)に関して日本語訳を要求されることはほとんど無いので、「こんな用法があるんだ」と認識しておくだけで十分です。(どうやって「普通の意志」と「強い意志」を見分けるかを考える必要は無い)
Ⅱ 推量(予想)「〜だろう」
It will rain tomorrow.(明日は雨が降るだろう)
ポイント
「明日雨が降るか」を考える時、過去の経験を回想することで、「曇りの翌日は雨が多いなど」の知識や記憶を掘り出し、「明日は雨が降る」と断定しませんか?
この場合、一度心が現在から過去へと移動しているとも言えます。
このような心の動き(回想)をwillで表現しているのです。
Ⅲ 習慣(連想)「〜ものだ」
Dogs will bark.(犬は吠える(ものだ))
ポイント
「犬」という言葉を聞いた時、「犬と言えば…よく吠えるなぁ」といった具合に今までの犬に関する記憶を回想し、犬にまつわる情報を連想すると思います。
この「犬と言えば…こうだな、ああだな」という心の動き(連想)をwillで表現します。
Japanese will eat rice.(日本人は米を食べるものだ)なども同様ですね。
「日本人と言えば・・・will(連想中)・・・米を食べるなぁ」といった具合です。
Ⅳ 依頼
Will you come to the party?(パーティに来ない?)
ポイント
「パーティに来る気はある?ない?(あって欲しい)」このような気持ちをwillで表現しています。
ちなみに、Would you help me?(手伝ってくれませんか?)のように、wouldを使うと、より丁寧な表現になります。
日本語で言うところの敬語に近い感覚ですね。「過去形=遠い=敬語」です。
»「過去形=「遠い形」押さえておくべき過去形のイメージと出題ポイント」を参考にしてください。
Ⅴ 過去の習慣(回想)— would「〜したものだ」
I would play at the park, when I was child.(子供の頃、よくあの公園で遊んだものだ。)
ポイント
「子供の頃と言えば…」と回想し、パッと浮かんだ情景が「公園で遊んだこと」。
そのような心の動きをwouldで表現します。
この場合にも、あくまでも回想するという心の動きを表現しており、それが結果的に過去の習慣を表すことになっているわけで、「過去にしたことや過去の事を表す表現=would」という認識はしないでください。
willが未来を表す表現ではないのと同様に、wouldもまた過去の事を表す表現ではないことを押さえてください。
»『和訳問題で注意!!助動詞の過去形は「カコ」を表す表現ではない』を参考にしてください。
≒ used to「〜したものだ」
wouldとused toの違い
同じく「〜したものだ」と訳される表現に「used to V」があります。
しかし、日本語訳は同じでもwouldとused toは全く別の意味合いを持っています。
「used to」は「(昔は)〜したものだ(だが、今は違う)。」というニュアンスが含まれている表現で、「現在と過去を対比」する際に使われることが多いです。
対して、wouldが表せるのは、過去の一定期間における習慣のみです。
wouldは「あの頃と言えば…」という回想(心の動き)を表現しているにすぎないからです。
「◯◯の頃と言えば…よく△△したなあ」の「〇〇の頃」の部分が過去の一定期間、「△△」が習慣です。
つまり、「〇〇の頃と言えば…」の部分がなければ、wouldを使う意味もない(使えない)ということです。
そして、例えば「子供の頃」を想像した時に、パッと「△△したなあ」と浮かぶのですから、△△はその当時何度も繰り返し行った行為ということになりますね。だから、習慣なのです。
したがって、wouldは過去の一定期間の習慣を表すことができるに過ぎず、「昔」という漠然とした過去や、現在と過去の対比を表すような「〜だったのに」というような「〜したものだ」では使えないのです。
条件 | 動作V(習慣) | 現在と過去の対比 | 状態V(過去の状態) |
例文 | 子供の頃よく川沿いをランニングしたものだ。 | 昔はここにホテルが建っていた。 | 昔は肌が荒れていた。 |
would | ◯ | × | × |
used to | ◯ | ◯ | ◯ |
wouldとused toの違いについては「wouldとused toの違いを説明 | 大学受験の英文法対策という観点から」で詳しく説明しています。
テーマ44:wouldとused to
①was able to ②used to ③would have ④would
問題文では、現在と過去の対比がなされてますので、②「used to」が正解になりますね。
また、「あの頃といえば…」の「あの頃」に該当するような「一定期間」も示されていませんね。
wouldは使えません。