ここでは、助動詞の単元で、個別にテーマとして取り上げるボリュームのない頻出事項についてまとめて解説しています。
主要な助動詞に関してはそれぞれ別のページで個別で取り上げ、解説していますので、そちらをご参照ください。
テーマ52:「would rather … than 〜」(〜するよりむしろ…したい)
例文)I would rather watch YOUTUBE than read a book.「本を読むよりはむしろyoutubeを見たい」
まずratherについて。
ratherは「程度」を表す副詞で、「いくぶん」「やや」など控えめな意味を持ちます。
どうして控えめなのかというと、ratherはもともと自分にとって印象が良くないものや悪いものを修飾する時に使う言葉で、それらをはっきりと表現しにくい時に濁すような感覚で使う言葉なのです。
日本語で言うところの「結構」に近い感覚ですかね。
例えば、人に嫌いなものを勧められた時に「いや、それ嫌いです」とはっきり言いにくい時に「結構..良いですね(本当はイヤ)」という曖昧な表現をしたことはありませんか?
そのような感覚でratherは使用されます。
I would rather not go to school.(あまり学校に行きたくない)
Your house is rather dirty.(君の家、結構汚いね)
のような感じです。
で、最初はイヤだなと思って取り組んでいた事や、最初は嫌いと思っていた人が、途中からだんだんと良く思えてきた時、「(嫌いと思ってたけど)むしろええやん!」と表現するかと思います。
つまり、ratherは基本的には自分にとって好ましくないものを修飾してその表現を濁す形で「結構」などの意味をもち使用されますが、逆に好ましいものを修飾する際には「むしろ」といった「良くないどころかめっちゃええやん」みたいな意味を持つのですね。
「would rather … than 〜」のratherはまさにその「むしろ」です。
次に「A than B」について。
thanは「as 〜 as」同様、【比較】の単元で詳しく説明しますが、掻い摘んで話すと「A than B」=「A > B」です。「(何らかの基準において)BよりA」ですね。
これらを踏まえてI would rather watch YOUTUBE than read a book.を見ると、「(自分にとってむしろ好意的という点で)watch YOUTUBE > read a book」→「本を読むより、むしろyoutubeを観たい」となりますね。
否定文 ⇒「would rather not V」(むしろ〜したくない)
notの位置に注意(整序で狙われる)。
否定文の形は、他の助動詞と変わらない(助V not V)ので。
先ほどの説明通り、この「rather」は自分にとって好ましくないものを濁す意味で使われてますので、「むしろ」という訳よりも「どちらかと言えば」などと訳した方が自然です。
「どちらかと言えばVしたくない」と訳しても減点されません。(入試観点上どちらでも良いです。)
テーマ53:「How dare you V〜!(?)」(よくもVできるね)
例文)How dare you say that!「よくもそんなこと言えるね!」
映画などでは良く出てくる表現です。
「How dare you!」(よくも!)と。
例文は作りやすく面白い表現なのですが、入試ではあまり掘られることのない表現ですので、さらっといきます。
「dare」は(あえて〜する)という意味の動詞です。
それがneedと同じように助動詞として使われているのがこの表現です。
need同様、疑問文と否定文でしか使用できない点に注意してください。
テーマ54:「had better」(〜した方が良い(〜しなさい))
例文)You had better shave your beard.(ヒゲを剃りなさい)
shouldのテーマでも触れましたが、had betterは「〜した方が良い」というよりも「〜しなさい」という上の者が下の者に命令するようなニュアンスを持つ助動詞です。
「You had better shave your beard.」は上司が部下に向かって「お前、ヒゲ剃れよ」と言ってる感覚です。
入試ではあまり気にする必要はないですが、これを知っておくと、大学生になって留学生の友達ができた時に役立つかもしれませんというのは冗談で、少なくとも同じ意味を持つ他の語と区別して「had better」を記憶するための助けにはなるのではないでしょうか。
否定文⇒「had better not V」(〜しない方が良い)
例文)You had better not be late for the meeting.(会議には遅れない方が良い)
notの位置に注目です。had betterを一つの助動詞として捉えておくと、ややこしくないでしょう。
また、これも余談ですが、上記の例文、実際は「会議に遅れるなよ」です。
テーマ55:shallの用法
例文)You shall have a book.(君に本をあげよう)
「shall we dance?」(踊りませんか?)で有名なshall。
助動詞を学んだことがない人でもshallは知っている人が多いでしょう。
しかし、実はshallが現代の日常会話で使われることはほとんどありません。
shallはもともと聖書で使われているような古くて格式張った表現なのです。
なぜ、この話をするかと言いますと、shallのイメージをつかんで頂きたいのです。
shallのイメージは「神の意志の反映」です。
「神の意志の成すままに、必然的にそうなるよ」というイメージです。
占い師が「あなたは明日〇〇でしょう」といっている情景を想像すると、近いかもしれません。
「You shall have a book.」の場合は、(君が何と言おうと、必然的に君は本を持つことになる)→(君に本をあげよう)という具合ですね。
そして、「神」や「格式張った」という言葉が出てくるように、かなり威圧的な表現です。
He shall call you soon.(すぐに彼からあなたに電話させます。)のように、権力を持っている人が使える表現です。
長々と説明しましたが、実際のところshallが入試で問われることは非常に少ないです。
ただ、例文のような表現は知っていないと絶対に訳せないので、丁寧に説明しました。
皆さんはこんな使い方(例文)があるんだという認識ができていれば結構です。
ちなみに、占い師の話をするとケラケラと笑いながら「You shall die.」と言い出す生徒が必ずいます。
「あなたは死ぬでしょう」という意味で使っているのでしょう。
それなら面白いですが、これをこのテーマの用法(話者の意思を表す)に当てはめると、I will kill you.(私はあなたを殺します)と同義になってしまいます。
ケラケラと笑いながらI will kill you.は怖いですね。余談ですが。