ここでは、関係代名詞について講義しますが、先に「関係詞の基本解説と学習の進め方。たった2つの視点で関係詞は満点。」を必ず読んでください。各関係詞の何を学べば良いのか、を具体的に説明しています。
関係代名詞
先行詞:あり
後ろの文:不完全文
関係代名詞の本質(関係代名詞とは)
関係代名詞は、名詞を修飾する代名詞のことだと思っておいてください。
代名詞とはitやheなど、名詞を指してその名詞の代用として使うことができる品詞でしたね。(»品詞についてはこちら)
関係代名詞も本質的にはitやheと同じです。
普通の代名詞と異なる点は、名詞を修飾できるところです。
ex1) The man 【who is standing there】 is my father.
例えば、ex1)の文は「The man is my father」と「The man is standing there」という二つの文章に分けることができますね。
「The man is standing there. He is my father」(男性がそこに立っている。彼は私の父だ。)のように、「The man」が重複しないように、代名詞(He)を使う感覚はわかりますね。
関係代名詞もこれと同じです。
The manが重複しないように、片方の文の「the man」を「who」で表すのです。
The man is my father.
who(=the man) is standing there.
ここまでは普通の代名詞と同じです。
ここからが代名詞との違いで、関係代名詞は名詞を修飾することができます。
どの名詞を修飾するのか。
それは関係代名詞が指している名詞(元々の名詞)です。
そしてこれを「先行詞」と呼びます。この例でいえば「The man」ですね。
関係代名詞
名詞を修飾する(形容詞節)
ex)The man 【who is standing there】. (【そこで立っている】男性)
↑「who〜there」の関係代名詞節が名詞「the man」を修飾している。
※代名詞と固有名詞は修飾できない。
関係代名詞が修飾できないもの
代名詞
固有名詞
関係代名詞の種類と使い分け
名詞を修飾する代名詞のことを関係代名詞と呼びますが、関係代名詞にはwho, whom, whose, whichと複数の種類があります。
これらは、以下の表の通り使い分けます。
☟先行詞 | 節内の役割☞ | 主格(主語) | 目的格(目的語) | 所有格 |
人 | who | (whom) | whose |
人以外 | which | (which) | whose |
※目的格は省略可能 |
関係代名詞にはwho, whom, whose, whichなど多くの種類があり、どの場面でどの関係代名詞を使うのかが入試では問われます。
しかし、関係代名詞の本質を理解していれば、簡単です。
ここでも、先ほどの例文「 The man 【who is standing there】 is my father.」を例に説明していきます。
関係代名詞の使い分けで着目すべき点は「関係代名詞が修飾している名詞」と「関係代名詞節における関係代名詞の役割」の2点です。
まず前者について。
関係代名詞が修飾している名詞が「人」なのか「人以外」なのかで使用出来る関係代名詞が変わります。
人であれば「who,whom,whose」を、人以外であれば「which、whose」を使用します。
例文で言えば関係代名詞が修飾している名詞は「the man」なので、人、つまり「whoかwhomかwhose」を使用するということになります。
ここで「who」か「whom」、「whose」のどれを使うのかということになるのですが、後者の説明に移ります。
関係代名詞節内における関係代名詞の役割によって、「who」を使うのか「whose」を使うのかが決まります。
役割が主語であれば「who」、目的語であれば「whom」、「a boy’s pen」のように所有を表す役割であれば「whose」を使うという具合です。
関係代名詞節とは、例文で言えば「who is standing there」、つまり名詞を修飾している文のことです。
「The man(S) is standing(自V) there(M)」なので、関係代名詞(who=(the man))は主語の役割を果たしています。だからwhoを使うのです。
テーマ90:関係代名詞の使い分け
☟先行詞 | 節内の役割☞ | 主格(主語) | 目的格(目的語) | 所有格 |
人 | who | (whom) | whose |
人以外 | which | (which) | whose |
※目的格は省略可能 |
先行詞が人
人/主格 who
例)The man is my father. + The man(S) is standing there.
→The man who is standing there is my father.(そこに立っている男性は父です。)
人/目的格 whom
例)The woman is my mother. + I(S) love(V) the woman(O)(=whom).
→ The woman whom I love is my mother.(私が愛している女性は母です。)
名詞を修飾するのが関係代名詞のため、「whom」は先頭(名詞の直後)に来る点に注意。
※目的格は省略可能。例)The woman I love is my mother.
人/所有格 whose
例)I know the woman. + The woman’s father is a bank clerk.
→ I know the woman whose father is a bank clerk.(私は父親が銀行員の女性を知っている。)
先行詞が人以外
人間以外/主格 which
例)I have the pen. + the pen(S) is expensive.
→ I have the pen which is expensive.(私は高価なペンを持っています。)
人間以外/目的格 which
例)I use the bag. + My father bought the bag(O) for me.
→ I use the bag which my father bought for me.(私は父が私のために買ったカバンを使っています。)
※目的格は省略可能。例) I use the bag my father bought for me.
人間以外/所有格 whose
例)I like the dog. + The dog‘s hair is fluffy.
→I like the dog whose hair is fluffy.(私は毛がふわふわの犬が好きだ。)
関係代名詞の先行詞と後ろの文
関係代名詞は名詞を修飾するのですから、先行詞は当然「あり」です。
また、テーマ90の例文のように、関係代名詞が元の文の「主語」、「目的語」、「代名詞+名詞」のいずれかの役割を果たす単語に成り替わるわけですから、当然修飾する側(関係代名詞節)は「不完全文」となりますね。
注意しておきたいのが、所有格の後ろの文の考え方についてです。
例えば、テーマ90の例文「I like the dog whose hair is flurry.」の場合、関係代名詞をwhoseと捉えると、後ろの文は「hair is flurry.」となりSVCの完全文になるのでは?と疑問に思う生徒が多いです。
そこで、ここでは「関係代名詞の所有格の後ろの文=不完全文」の考え方について解説します。
結論から申し上げると、「whose」が所有格の部分の代用となっているわけではなく、「代名詞 + 名詞」が一つのまとまりとして「whose + 名詞」に成り代わっているという考え方です。
つまり、I like the dog whose hair is flurry.という文は、もともとI like the dog.という文と、The dog’s hair is flurry.という二つの文が関係代名詞を使うことによって一つの文になっていますが、「The dog’s」の部分が「whose」になっているというより、「The dog’s hair」が「whose hair」となり、先行詞にくっ付いているというわけです。
例えば、I have a dog.という文と、Many people love dog’s hair.という文をwhoseを使ってまとめると、I have a dog whose hair many people love _.のように、「whose」だけが前に移動するのではなく、「whose hair」が一つのまとまりとして先行詞の直後に移動します。
関係代名詞の頻出知識と、入試問題対策
テーマ91:関係代名詞の使い分け①
①which ②whose ③who ④whom
選択肢を見れば関係代名詞しかないので、分かりますが、関係詞の問題を解く際にはまず先行詞と後ろの文を確認しましょう。
「the people」とあるので、先行詞あり。
後ろの文は、「live(V) in this village(M)」。
ということは主語がないので、不完全文。
この時点で空欄に入るのは関係代名詞だということがわかります。
次に先行詞が人かどうかですか、「the people」なので「人」ですね。
whoかwhomかwhoseが入るということがわかります(この時点で①が消える)。
最後に、関係代名詞節中における関係代名詞の役割を考えてみましょう。
主語が抜けているということなので、役割は主語です。主格のwhoを選びます。
テーマ92:関係代名詞の使い分け②
①whose ②whom ③where ④which
まず、先行詞と後ろの文を確認しましょう。
先行詞は「あり」ですね。
後ろの文は「he(S) lived (自V) in▲」ということで、前置詞「in」の目的語がないので、不完全文です。
この時点で関係代名詞が答えということがわかります。①か②か④ですね。
次に、先行詞が人かそれ以外か確認すると「the house」なので、人以外ですね。②は消えます。
最後に後ろの文を確認すると、「in」の目的語が欠けているということなので、目的格を選びます。
答えは④のwhichです。
テーマ93:前置詞+関係代名詞
①in which ②from which ③on which ④to which
例によって、先行詞と後ろの文を確認していきます。
「the day」とあるので、先行詞はありです。
次に後ろの文を確認すると、「I met you」とあるので、完全文ですね。
「関係代名詞は無いな」と思いながら選択肢をみると、選択肢にはwhichが並んでいます。
実は、先行詞(関係代名詞節内では関係代名詞)が関係代名詞節内の前置詞の目的語になっている場合、前置詞も関係代名詞と一緒に先頭に持ってくることができるのです。
つまり、問題文の元の文は「I met you on the day」(その日、君と会った)で、「I well remember the day which I met you on.」なのですね。
もちろん、この形でも正しい文です。
このように前置詞を関係代名詞節内に残しても構いませんし、問題文のように関係代名詞とセットで先行詞にくっつけても構わないということです。
「間代+S+自V+前(不完全文)」から、文末の前置詞を取り出すわけですから、必然的に関係代名詞節内は「S+自V」で完全文になります。
後ろが完全文だからといって、関係代名詞を速攻で消してしまうのではなく、「前置詞+関係代名詞」の可能性も考慮するように注意してください。(なお、基本的には問題文のように、選択肢が全て前置詞+関係代名詞、つまりこの知識があれば解ける問題の場合が多い)