no more than、no less than、not more than、not less than。
これらの表現はそれぞれ訳が紛らわしく、暗記が難しいです。
さらに比較の単元の中でも最も出題される項目のうちの一つで、受験生が間違えやすいところです。
しかし、実はこれらの表現は非常に理にかなった表現で、一度なぜその訳になるのかを理解できれば、スムーズに覚えることができます。
ここでは、これらの表現の意味の成り立ちを押さえ、訳し方をマスターしてください。
no more than A「Aしか」
no less than A「Aも」
not more than A「せいぜいA」
not less than A「少なくともA」
no(not) more than、no(not) less thanの訳の考え方について
① no more than A
② no less than A
③ not more than A
④ not less than A
③と④について解説。
まず、「not」がないものとして、③「not more than A」と④「not less than A」の意味を考えてみてください。
「not」がない状態だと、③は「(moreという基準において)> A」つまり、Aより多い(more)。④はAより少ない(less)となりますね。(»thanについて)
そして、そこに「not」を加えると不等号の向きが変わるわけですから、③は「(moreという基準において)≦ A」、④は「(lessという基準において)≦ A」ということになります。(頭に「?」が浮かんだ人は「比較の基本」を先に読んでください。notを加えると不等号の向きが変わる考え方について解説しています。)
これを図に表すと図1のようになります。
③は「Aより多くはない=最大でもA」なので、「せいぜいA」となります。
④は「Aより少なくはない=最小でもA」なので、「少なくともA」となりますね。
次に、①と②について解説。
①「no more than A」と②「no less than A」についての解説です。
唐突ですが、Aを「5000円」だとして考えてみてください。
そして、「no」がないものとして図(財布の中の金額)に表してみると、図2のようになります。
「no」が無いものとして表すわけですから、①は「more than A」となり、Aよりも上の位置に点が置かれますね。10000円くらいあるのでしょう。
そして、②は「less than A」となるので、Aよりも下の位置に点が置かれます。2000円くらいでしょうか。
次に「no」があるものとして考えていくのですが、その前に「no」と「not」について解説します。
「no」と「not」について
まず「not」について。「not」は単なる否定を表す言葉で「ではない」という感覚が近いです。
それに対して「no」は極めて強い否定を表す言葉で、「ゼロ」に近い感覚です。「no=ゼロ」という考え方も間違いではないくらいです。
「than」はAとの比較において「>A」というAとの差を表していました。
これに「not」が加わった場合には、単なる否定なので、①②のように「>A」が「≦A」に変わる、つまりAとの差の度合いが関わるだけでしたね。
しかし、「no」はゼロに近い強い否定を表すので、不等号の向きが変わるのではなく、「Aより」というAとの差自体がかき消されてしまうのです。
図2に「no」を加えたのが図3です。
図3でも、①ではAよりも上の位置にあった点がAとの差がゼロになり、Aの位置に引き落とされていますね。②はAよりも下の位置にあった点が、Aとの差がかき消されたことにより、Aの位置に引き上げられていますね。
この図を見ながら①と②の訳について考えてみましょう。
まずは①から。「財布の中に10000円くらいはあるな」と思っていて、いざ財布をあけてみると、5000円でした。みなさんどう思うでしょう。「5000円しかない」と思いますよね。だから、no more than Aは「Aしか」です。
次に②について。「財布の中に2000円入ってる」と思っていて、財布を開けると5000円入っていました。どう思いますか?「5000円も入ってる!」と思いますね。no less than Aは「Aも」となります。
①Aしか (= only A)
②Aも (= as many/much as A)
③せいぜいA (= at most A)
④少なくともA (= at least A)